帰化とは?帰化申請の7つの要件と手続きの基本を行政書士が解説

「日本で長く暮らしているけれど、帰化するには何年住む必要があるの?」「帰化申請にはどのような条件があるの?」と疑問に思っている外国人の方もいるのではないでしょうか。
帰化とは、外国人が日本国籍を取得することです。帰化が許可されると、日本国民として戸籍が作られ、日本の国籍を取得します。
ただし、帰化するためには、居住期間や年齢、納税状況、生活の安定性など、さまざまな点について審査を受ける必要があります。また、2026年4月1日からは、帰化審査の運用が厳格化されています。
この記事では、帰化の基本的な仕組みから、普通帰化の7つの要件、簡易帰化と大帰化の違いまで、行政書士が分かりやすく解説します。

帰化とは?日本国籍を取得するための手続き

帰化とは、日本国籍を持たない外国人が、法務大臣の許可を受けて日本国籍を取得する制度です。国籍法第4条に規定されています。
帰化が許可されると、官報に告示され、その告示の日から日本国籍取得の効力が生じます。

参考:法務省「国籍Q&A」

帰化すると何が変わる?

帰化によって日本国籍を取得すると、外国人としての在留資格に基づいて日本に滞在する立場から、日本国民として生活する立場に変わります。
例えば、次のような変化があります。

  • 外国人としての在留資格や在留期間の更新が不要になる
  • 日本人として戸籍が作られる
  • 日本国民として選挙権などの権利を得る
  • 原則として、従来の外国籍を失うことになる

ただし、帰化によって氏名や国籍に関する手続きがすべて自動的に完了するわけではありません。帰化後に必要となる各種届出などについても確認しておきましょう。

帰化は年間どれくらい許可されている?

法務省の公表資料によると、2025年の帰化許可者数は9,258人でした。

参考:法務省「帰化許可申請者数等の推移」

帰化は、毎年多くの外国人が日本国籍を取得している制度です。ただし、必要な条件を満たしていれば必ず許可されるわけではなく、個々の事情を踏まえた審査が行われます。

帰化には3つの種類がある

帰化は、一般的に「普通帰化」「簡易帰化」「大帰化」の3つに分けて説明されます。

1.普通帰化

普通帰化は、国籍法第5条に定められた一般的な帰化の制度です。
例えば、外国で生まれ、留学や就職などをきっかけに日本に来て、その後も日本で生活している外国人などが対象となります。

2.簡易帰化

簡易帰化は、日本人との親族関係など、一定の事情がある外国人について、普通帰化の要件の一部を緩和する制度です。
例えば、日本人の配偶者、日本人の子、日本で生まれた方などが該当する場合があります。
「簡易」という名称ですが、必要書類の作成や収集が簡単になるという意味ではありません。 国籍や家族関係によっては、外国の公的書類なども必要となり、多くの準備が必要です。

3.大帰化

大帰化は、国籍法第9条に定められた制度です。
日本に特別の功労がある外国人について、国会の承認を得て帰化を許可できるとされています。
普通帰化や簡易帰化とは異なる特別な制度であり、一般的な帰化申請を検討している方が通常利用するものではありません。

参考:法務省「国籍法」

普通帰化の7つの要件

普通帰化を検討する場合、まず確認したいのが帰化の要件です。
国籍法第5条では、住所、能力、素行、生計、重国籍防止、憲法遵守に関する6つの条件が定められています。また、実際の審査では、日本で日常生活を営むために十分な日本語能力なども確認されます。

1.住所要件

普通帰化では、法律上、原則として引き続き5年以上日本に住所を有していることが必要です。また、その住所は適法なものでなければなりません。
ただし、2026年4月1日からの審査運用では、原則として10年以上在留し、日本社会に融和していることが求められるようになりました。
法律上の住所条件が5年以上であることと、現在の審査運用で原則10年以上の在留が求められることは、区別して理解する必要があります。

参考:法務省「法務大臣閣議後記者会見の概要」

「引き続き」とは?

「引き続き」とは、継続して日本に住所を有していることを意味します。
例えば、日本に長期間住んでいても、海外に長く滞在していたり、短期間の出国を繰り返していたりする場合には、居住の継続性について確認が必要となることがあります。

出国の状況確認したいポイント
1回の出国が長期間に及ぶ日本での生活の継続性や出国理由など
短期間の出国を繰り返す年間の出国日数や頻度、日本での生活実態など
仕事の出張で出国する出張の期間・頻度、日本での生活の実態など
家族の事情などで出国する事情や滞在期間、生活の拠点など

帰化申請では、日本での居住が継続しているかどうかが重要な審査ポイントになります。
法律上、出国日数について一律の基準が定められているわけではありませんが、実務上は、1回の出国が約3か月以上に及ぶ場合や、1回の出国が短くても年間の出国日数が合計150日前後に達する場合には、居住の継続性について慎重な確認が必要になると考えられます。
ただし、これらはあくまで実務上の目安であり、日数だけで帰化の可否が決まるわけではありません。出国の理由や頻度、日本での生活実態なども含めて判断されるため、長期間の出国や海外渡航を繰り返した経歴がある方は、事前に相談することをおすすめします。

就労期間も確認される?

帰化申請では、安定した生活を送れることや、日本社会に定着していることが重要です。そのため、勤務先や雇用形態、収入、職歴なども確認されます。
法律上、全員に一律3年以上の就労期間が求められているわけではありませんが、実務上は、安定した就労を3年程度継続していることが一つの目安として考えられます。
ただし、就労期間だけで判断されるわけではありません。転職歴がある場合でも、転職の経緯や現在の勤務状況、収入の安定性などによって評価は異なります。正社員に限らず、契約社員や派遣社員などの場合も、個別の事情を踏まえた確認が必要です。

2.能力要件

普通帰化では、原則として18歳以上であり、かつ、本国の法律によっても成人年齢に達していることが必要です。
以前は20歳以上とされていましたが、2022年4月1日の成年年齢引下げに伴い、18歳以上に変更されました。
なお、日本人の子など、国籍法上の特例に該当する場合には、年齢に関する条件が緩和されることがあります。

3.素行要件

素行要件では、日頃の生活状況が確認されます。犯罪歴の有無だけでなく、税金や社会保険料の納付状況、交通違反なども判断材料になります。

税金の納付状況

住民税などの税金は、決められた期限までに納付していることが重要です。
会社員の場合、住民税が給与から天引きされていれば、通常は会社を通じて納付されています。一方、自分で納付する普通徴収の場合は、納付期限を確認し、期限どおりに支払っているか確認しましょう。

帰化申請では、税金を期限どおりに納付しているかどうかが素行要件の重要な確認事項となります。
未納がある場合は、まず未納額を解消することが大切です。ただし、申請前に支払えば、それまでの納付状況が審査上問題にならなくなるとは限りません。
実務上は、未納の有無だけでなく、未納が生じた時期や理由、完納した時期、その後の納付状況なども含めて整理しておくことが重要です。未納がある方は、早めに納付状況を確認し、必要に応じて専門家に相談しましょう。

また、個人事業主や会社経営者の場合は、個人の住民税だけでなく、所得税、事業税、消費税、法人税、法人住民税など、該当する税金の納付状況にも注意が必要です。

扶養の申告にも注意

扶養親族の申告内容と実際の収入・送金状況などが一致しているかも、確認しておきたいポイントです。
例えば、国外に住む親族を扶養に入れている場合は、親族との関係、年齢などの要件、送金の事実を示す資料などが必要となることがあります。
扶養控除の適用要件は親族の年齢や居住状況などによって異なります。申告内容に誤りがあると分かった場合は、税務署や市区町村に相談し、必要な修正手続きを確認しましょう。

交通違反

帰化申請では、交通違反の内容や回数、違反した時期なども素行要件の判断材料となります。
実務上は、過去5年間程度の交通違反歴を整理し、違反の内容や回数を確認しておくことが重要です。駐車違反などの軽微な違反が数回程度であれば、直ちに帰化が難しくなるとは限りませんが、違反の回数や内容によっては慎重な判断が必要になります。
特に、飲酒運転などの重大な違反は、審査に大きく影響する可能性があります。過去に違反歴がある場合は、違反内容や時期を正確に把握しておきましょう。

年金・社会保険料

帰化申請では、年金や社会保険料の納付状況も確認されます。会社員で厚生年金保険料が給与から天引きされている場合と、国民年金保険料を自分で納付する場合では、確認すべき資料が異なります。
未納がある場合は、まず納付状況を確認し、必要な対応を進めましょう。実務上は、国民年金保険料について直近1年分程度の納付状況が一つの確認の目安として扱われることがあります。
ただし、2026年4月からは税金や社会保険料の納付状況に関する審査運用も厳格化されているため、直近1年分を納付すれば必ず問題が解消するという意味ではありません。過去の未納状況も含め、個別に確認することが大切です。

4.生計要件

帰化申請の生計要件では、本人や生計を同じくする家族が、安定した生活を送れるかどうかが確認されます。
法律上、全国一律の最低月収額が定められているわけではありませんが、実務上は、月収18万円程度を一つの目安として考えることがあります。
ただし、必要な収入は家族構成や住居費、生活費、借入金の返済状況などによって異なります。本人の収入だけでなく、配偶者などの収入を含めた世帯全体の生計が重視されるため、月収の金額だけで判断しないことが大切です。

また、自己破産の経験がある場合でも、それだけで帰化が認められなくなるわけではありません。ただし、現在の経済状況や借入金やの返済状況など、生計の安定性を確認するうえで個別の検討が必要です。
実務上、自己破産から7年程度経過していることが一つの目安として紹介されることがあります。 ただし、7年が経過すれば必ず帰化が認められるという一律の基準ではありません。破産後の生活状況や現在の収入、債務の状況なども踏まえて判断する必要があります。

5.重国籍防止要件

日本では、帰化に際して、原則として従来の国籍を失うことが求められます。
ただし、国籍法には例外も設けられており、本人の意思によって本国の国籍を失うことができない場合などには、一定の条件のもとで帰化が認められる可能性があります。
国によって国籍離脱の制度や条件は異なります。兵役義務などが国籍離脱に関係する場合もあるため、母国の制度を事前に確認しておきましょう。

6.憲法遵守要件

日本国憲法やその下に成立した政府を暴力で破壊することを企てたり、主張したりする者などは、帰化が認められません。
また、そのような行為を企てたり主張したりする政党その他の団体を結成したり、加入したりしたことがないことも条件とされています。
これは、単に日本の政治について意見を持っているかどうかを問うものではなく、国籍法に定められた行為などを対象とする要件です。

7.日本語能力

帰化申請では、日本語で日常生活を営むために必要な会話力や読み書きの能力も重要です。
法律上、日本語能力試験の特定の級が一律の条件として定められているわけではありませんが、実務上は、日本語能力試験N3程度の日本語力が一つの目安として紹介されることがあります。
ただし、日本語能力試験の級だけで判断されるわけではありません。日常会話や読み書きの状況などが確認され、必要に応じて筆記試験などが行われる場合もあります。申請を検討している方は、会話だけでなく、ひらがな・カタカナや基本的な漢字の読み書きも含めて準備しておきましょう。

簡易帰化の要件とは?

簡易帰化は、日本人との親族関係や日本との特別なつながりがある外国人について、普通帰化の要件の一部を緩和する制度です。国籍法第6条から第8条に規定されています。主なケースは次のとおりです。

区分主な対象者・条件
国籍法第6条第1号日本国民であった者の子(養子を除く)で、引き続き3年以上日本に住所または居所を有する人
国籍法第6条第2号日本で生まれ、引き続き3年以上日本に住所または居所を有する人、または父母のいずれかが日本で生まれた人
国籍法第6条第3号引き続き10年以上日本に居所を有する人
国籍法第7条日本人の配偶者で、引き続き3年以上日本に住所または居所を有し、現在も日本に住所を有する人
国籍法第7条日本人と婚姻してから3年を経過し、引き続き1年以上日本に住所を有する人
国籍法第8条第1号日本国民の子(養子を除く)で、日本に住所を有する人
国籍法第8条第2号日本国民の養子で、縁組時に本国法上の未成年者であり、引き続き1年以上日本に住所を有する人
国籍法第8条第3号日本国籍を失った人(日本に帰化した後に日本国籍を失った人を除く)で、日本に住所を有する人
国籍法第8条第4号日本で生まれ、出生時から国籍を有しない人で、出生時から引き続き3年以上日本に住所を有する人

参考:法務省「国籍法」

上記は法律上の対象ケースを整理したものです。実際にどの要件が緩和されるかは、それぞれの条文と個別事情によって異なります。
なお、特別永住者や日本人の配偶者などは、個別の事情に応じて帰化の条件が緩和される場合があります。ただし、特別永住者であれば自動的に帰化が許可されるわけではありません。

大帰化とは?

大帰化は、国籍法第9条に定められた特別な制度です。
日本に特別の功労がある外国人について、国会の承認を得て帰化を許可できるとされています。
普通帰化や簡易帰化とは異なり、一般的な帰化申請の選択肢として利用する制度ではありません。

帰化申請をする前に確認しておきたいこと

帰化申請では、申請者の国籍や家族構成、職業などに応じて必要書類が異なります。一般的には、次のような書類が必要となります。

  • 帰化許可申請書
  • 履歴書
  • 親族の概要を記載した書類
  • 帰化の動機書
  • 住民票など住所を確認する書類
  • 国籍や親族関係を証明する書類
  • 収入や生計の状況を証明する書類
  • 税金や社会保険料の納付状況を証明する書類

これらは主な例であり、すべての方に同じ書類が必要となるわけではありません。
帰化申請は、書類を提出すれば必ず許可される手続きではありません。 住所条件や納税状況などを早めに確認し、不明点があれば住所地を管轄する法務局に相談しましょう。

参考:法務省「帰化許可申請」

まとめ

帰化とは、外国人が法務大臣の許可を受けて日本国籍を取得する制度です。
帰化には普通帰化、簡易帰化、大帰化があり、一般的な帰化申請では、住所、能力、素行、生計、重国籍防止、憲法遵守などの条件を確認する必要があります。また、日本語能力や日本社会への定着状況なども重要です。

特に、2026年4月1日からは、帰化審査の運用が厳格化され、原則として10年以上の在留が求められるようになった点に注意が必要です。法律上の住所条件と実際の審査運用を区別し、最新の情報を確認することが大切です。
帰化申請を検討している方は、ご自身の在留歴や家族関係、税金・社会保険料の納付状況などを整理したうえで、必要な手続きを確認しましょう。

酒井翔行政書士事務所 公式ホームページ

この記事を書いた人 Wrote this article

酒井 翔

酒井 翔 申請取次行政書士

酒井翔行政書士事務所 代表。福島県行政書士会所属(行政書士登録番号:第23051767号)。 福島県郡山市を拠点に、外国人の在留資格(ビザ)申請を中心とした入管業務に従事。

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